ウェットスーツの素材は,いろいろあります.多くは合成ゴム(ネオプレーン)の黒で,両面に繊維層を持つものがジャージ.繊維層のないものがスキン.両面ジャージ,片面ジャージ片面スキン,両面スキンとなり,片面ジャージ片面スキンの場合,どちらが表になるかというのがあります.変わり種として中層ジャージ両面スキンがあります.
ネオプレーン層は,強度の問題で黒が多く,一部白がありますが,このほかの色はあまり作られていません.
一方ジャージは自由に染色できるのでカラフル.ジャージの色によっては,下地が黒だと色が映えないので,白のネオプレーンが使われることがあります.一方,スキンはもっぱら黒ばっかり.
表スキンは大変水はけが良く,すぐ乾きます.Ext後船の上などで,いつまでもぬれていると,気化熱でガンガン熱を奪われ,寒くなることになります.
裏スキンは,肌への密着性が良く,肌との隙間に入り込んだ水をしっかり抱え込み,水が入れ替わることに寄るヒートロスが押さえられます.
そしてジャージ層が無い分構造がシンプルで低コスト.
一見良いことずくめのような両面スキンですが,色の問題のほか,ジャージ層がないため,非常に裂けやすい欠点があります.これが実に大問題.新品なのにいきなり裂いたという話も良く聞きます.
中層ジャージ両面スキンというのは,良いと取り・・・のようですが,高コストとなり,さらに劣化によりジャージ面剥離,つまりバラバラなになる可能性を持っています.
さて・・・簡単に裂ける両面スキン,裂けるたびに修理に出していたのではコスト的にやってられません.もちろん修理中は潜れない・・・
そこで出てくるのが「自分で修理」.うまくやれば,1本目で破って,休息中に修理して,2本目潜るというのも可能.そのためには道具を常に携帯と言うことになりますね.そこで私のツールセットをご紹介します.これは,遠距離ツアーのときのキットで,両面スキンの現地での修理に特化しています.昨今飛行機への荷物重量規制が厳しく極力軽くしたいので,レギなどの応急修理は現地サービスにお願いしちゃうということで.
ゴム糊(箱とチューブ)・千枚通し・鋏・糸・針・アクアシール・同硬化促進剤(cotol-240),そしてティッシュ・スポイト・裁縫セット・ケース.
このゴム糊は普通にダイビングショップで売ってるはずです.千枚通しと鋏は,単なる事務用品.糸・針は,単なるお裁縫道具.裁縫セットは,どっかの粗品のお裁縫セット.ホテルかなぁ・・・ スポイトも単なる事務用品,書道コーナーにあるかな.ケースは,100均で売ってた奴.3個100円.至っていい加減なやつ.ティッシュは,至って普通のティッシュ.写真のは駅前で配ってたサラ金広告のかな.
さて,ちょっと説明が必要なのが,アクアシールと同硬化促進剤(cotol-240)ですね.アクアシールは,ダイビングショップでも扱っていることがあるので知ってる人も多いと思います.硬化促進剤の方は,扱っているところが少なく,知ってる人は極端に少ないと思います.アクアシールは,硬化に24時間ほどかかり,現場での修理には不向き.硬化促進剤を添加すると5分ほどで硬化し1時間ほどで使用に耐えるようになります.